英語リスニング 実践テク編 ③
「 How to master English listing 」 No.10
推測力・想像力で穴埋めする
「次に来る言葉・単語を予測する」
「文脈から会話全体の構成・構造を把握する」
と続けて来ました。
これらは次にどんな単語や展開が来るかを予測するためのテクニックです。しかし、予測が必ず的中するとは限らない。むしろ、予測通りに展開しないことの方が多いでしょう。
予測通りに話が進まなかったとしても、ちゃんと英語が聞き取れていれば何の問題もない。予測することでリスニングに対する集中力が高める効果もある。会話の内容が記憶に残りやすい。
全然当たらなかったとしても予測する意味はあるんですよ。
ただ、そこまで頑張っても英語が聞き取れない・内容が理解できなのもまた事実。予測できなければ推測力と想像力で穴埋めするしかない。
推測力と想像力に関しては準備編でも解説しましたが、もう少し詳しく掘り下げてみましょう。リスニングにおいては最も重要なテーマですからね。
もちろん、最初から最後まで意味がわからないというのでは話になりません。聞く力と単語力をもっと強化する必要があります。「部分的に聞き取れないのをどうカバーするか」という話です。
「聞き取れない」には次の3パターンあります。
- 発音が早口で聞き取れない
- 聞き取れているけど単語の意味が不明瞭
- 初めて聞く単語で意味が理解できない
発音が早口で聞き取れないケース
リスニングでは、英語を「聞く」と同時に、その内容を日本語に置き換えるか、イメージに置き換えるかして「理解」しなければなりません。早口過ぎると理解が追いつかなくなってしまう。
リスニングの内容を理解する方法として、日本語置き換えをする人が圧倒的に多いと思います。しかし、早口で聞き取れないという人には「イメージ置き換え型」をお勧めしたい。
英語を日本語に置き換えるというのはかなり頭を使う作業です。
- 1.英単語を日本語に変換
- 2.日本語として意味が通るように並べ替え
- 3.並べ替えたら全体として意味が通じるように調整
- 4.意味を成さない場合は並び替えからやり直し
といった感じでしょうか。
一方、「イメージに置き換え型」の場合、登場人物をリスニングしたままに動かしてみればいい。
静止画ではなく動画として。
英語は「誰が」「何をした」「誰に対して」が前半。
後半は「いつ」「どこで」「どうやって」「なぜ」という構造です。
この順番を意識していればイメージを作りやすい。
仮に意味の解からない単語が登場したとしても、イメージで不足している部分を補うのは、日本語変換で不足している言葉を補うよりもずっと簡単です。
人間は紙とペンを使って言葉を並び替えるのは得意だけど、頭の中だけで言葉を並び替えるのは苦手。対して絵を描くのは大変だけど、頭の中でイメージを作るのは得意。
そういう風に出来ているんです。
イメージ化には慣れが必要です。最初は難しい。イメージ置き換えは日本語でも可能ですから、まずは日本語で練習するといいでしょう。または聞きなれた英語音声を使ってトレーニング。
最終的には、わざわざイメージ化を作らなくても英単語の意味が「ぱっ」と思い浮かぶ状態が理想的。リスニングに慣れてくれば自然とそういう状態になれるでしょう。
聞き取れているけど単語の意味が不明瞭なケース
この場合、知っている単語だけど文脈上の意味と合致しない。あるいは知っている単語だけど意味が思い出せないかのどちらかです。
全ての英単語の意味を瞬時に明瞭に思い出せる人なんていないでから。
文脈から欠けている部分の意味を推測・想像して穴埋めしましょう。
穴埋めするためには会話全体の流れをおおよそ推測しておく必要があります。つまり、常に論理の展開を先読みしていなければいけません。
この方法を習得するには、リスニングの回数をこなして経験を積むのがいちばん。聞き取れない部分をどうにかして穴埋めする経験を積むのが。
推測と穴埋めの技術を磨くことが、リスニング・トレーニングをする最大の理由とも言えるかな。
初めて聞く単語で意味が理解できないケース
初めて聞く音声でリスニングをやれば知らない英単語がしばし登場するのは至極当然。まったく未知の単語の場合、推測・穴埋めすることすら難しいでしょう。
1対1の会話であればもっと簡単で解かりやすい言葉で言い直してもらうこともできますが、リスニング試験などの場合はそうはいかない。
結局のところリスニングは、「どうやって推測するか」・「どうやって穴埋めするか」を追求しなければどうにもならないんですよね。ひたすらトレーニングするなり、工夫を凝らすなりして。
リスニングで推測・穴埋めするために必要な理論は、これまでに全て解説したつもりです。
文脈と論理の構成を考える。
英文の構造から単語を推測する。
会話の相手の個人情報やバックボーンを事前に調べておく。
加えて、
イメージ化のトレーニング、
学校の授業で得た知識、
日常生活で得た知識、
多読の経験、英作文トレーニング、
それら全てを総動員することでリスニング力は鍛えられます。
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